この話 酔いどれ話やないけれど
おもろい話や 聞いとくれ
わしが40代の頃 上司と二人で待ち合わせ
梅田グランドビルの横 右手が阪急電車2階への改札へ
向こうは長~いエスカレータ
左に阪急高架とナビオ
まだまだ来ない 待ち人現れず
右見て左 まだ来ない
今か今かと時間が経ってゆく
お偉い上司と来ています 待たせるわけにはいきまへん
下手すりゃ私の段取りがダメ出し
ポイント下がります
ふと左の先のほう 地面にベタっと
ぼろ雑巾みたいな奴
よく見りゃ 大阪のお乞食さん
別にどうちゅうことは ないけれど
なんか気になる 乞食やねん
「なかなか来られませんね~ どうしたんでしょうね」
「なんか急用でもはいったんちゃうか」
「それなら連絡ぐらいありそうなもんですよね」
とか言うててもなかなか来ない そわそわそわそわ待ってたら
いつのまにかその乞食 私のすぐ前 大接近!
嫌やな~と思ったが そんなことより早く来て
そのことだけで頭一杯 胸いっぱい
気を取り直し顔上げたその時 私の顔の真ん前に
お乞食さんのでかい顔 山よりでっかい顔 顔 顔
「お~ どぉ りゃ~~~」
怒鳴られた、怒鳴られた! 思い切り怒鳴られた!
ぼろ雑巾から絞り出す 人とは思えん大音量!
あまりの急な攻撃に 無い髪、天まで逆立って
30㎝は飛び跳ねた
人の目いっぱいこちらを見てる 私のせいではありません
隣の上司はどこにいる 知らない間に他人顔
えらいもんに見込まれた も一度言うけどお乞食さん
あんたを見てたんちゃいますで 人を待ってただけですやん
いまも心臓バクバクと なんでわしだけこうなるの 笑!
