新人時代 飲みすぎて谷町線の喜連瓜破駅止まり、帰りの電車がなくなった
初めて降り立った駅 周りの地理も皆目見当がつかない
今は建物も増え立派な駅になったが当時周りはなにもない
新興住宅地であった
だから灯りもなく真っ暗
飲み代にすべて使い切ったのでタクシー代も宿泊代もない
翌日会社までの小銭だけはなぜか残していた
アウトドアで野宿には慣れていたので
駅周辺でビバークできる場所を探した
春先である 昼間は暖かくても夜になれば冷える
暗闇の中 目を凝らすと住宅公団のような団地が街灯に
ぼんやり浮かび上がった
運よく物干し台が並ぶ屋上にたどり着いた
思い切って冷えたコンクリートの床に縮こまって寝ころんだ
コートもなくスーツのみ 襟を立てて風をふさぎながら
目をつぶった 時刻は深夜2時過ぎになっていた
