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淀でチャップリン 血まみれの巻

今回は京阪淀駅が最終着地点になったわ

早よう酒宴もお開きになって今日こそはちゃんと

家に帰れると思ってたのにいつもながら

酒に弱いというかつい飲みすぎてしまうのか

夢うつつのうちに大阪と京都の間を行ったり来たり

ギッタンバッタンしてたみたいやな

気が付いたらやっぱり今日も電車がなくなってもた

朝霜が降りるある寒い冬の日のことや

淀から歩いて帰るには遠すぎる タクシー乗り場にもう人影も

見えんな

こうなったらホームで始発が来るまで待つしかないかと

覚悟を決めた 

ベンチでしばらく目を閉じていたんやが

あまりに寒すぎていくらトレンチの襟を立てても追いつかん

こらたまらんな 凍えてまうわ

仕方なくトイレの中なら少しでも寒さが凌げるかと

個室に入って新聞紙を敷き 鍵かけドアにもたれて目を閉じた

それでも寒さは尻のほうからズンズン突き刺さってくる

でもどうしようもない うつらうつらしながら

眠ったかどうかようわからんうちに周囲が白じんで来た

でもまだ始発にはもう少し時間がかかる

ホームにたたずんでいたが寒さを紛らわそうと

持ってた傘をくるくる回しながらチャップリンみたいに

ふざけていたその時 

ホームの端を歩きすぎていたんか

踏み外してスローモーションのように線路に転落

右眉の上あたりが線路の鋼鉄にゴチンと当たったまでは

覚えてたが 少し気を失っていたようや

幸いにも早めに気が付いて 自力で起き上がり 

ホームに何とか戻ることができた

そのままなら始発電車の餌食になってたと思うと

ぞっと背筋に汗が走った

ここからやがな 額のあたりが冷たいなと

指でなぞると大量の血がしたたり落ちている

顔面からコートを伝って 怖いくらいの血まみれや

頭の傷はよう血が出るというがほんまやな

それより残念なんは 小遣いをはたいて買った

ご自慢のコートが…

しばらくして始発電車がホームに滑り込んできた

ホームから傘を手にした血まみれのサラリーマンが乗り込んできた

お~怖  笑!

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